Tangoとの出会い
2003年10月、世界遺産好きの私は「グランドキャニオンにいくの」と思い立ち渡米。
ギャンブルパラダイス ラスベガスへ。
ある晩、「パリスホテル」に評判のクレープを食べに行った。
ホテルの中は、こじゃれたパリの街角になっており、その一角で
べっぴんマドモアゼルと、いけてるムッシューのカップル2組、
加えて楽器を持ったおっさんが2人だか3人いた。
おっさんが哀愁漂う曲を演奏し始める。
それにあわせて、1組のカップルがピッタリと密着し、床を這うように動き出した。
「芸能人社交ダンス部」でしかダンスというものを見たことないし、
興味もない。いや、なかった。その瞬間までは。
テレビでみた社交ダンスの様に、背中を反らして笑いを浮かべながら踊るでもないし、決められた振りをこなすわけでもなく、滑らかに濃密に踊る二人。
濃密だが赤い炎ではなく、青い炎。世捨て人的な雰囲気、愛情と憎しみ。希望と諦め。
私はその場で停止して凝視していた。その二人に過去の自分を重ねていたかもしれない。
帰国後、哀愁漂う音楽も、濃密なカップルのこともすっかり頭から消えていた。
2年後、とあるきっかけで「習い事」を始めようと思った時、
選択肢の一つとして「ダンス」が出てきた。
近所のカルチャースクールの資料をなめるように見、見つけた講座
アルゼンチンタンゴ/「男女の駆け引き」がダンススタイルのテーマであるアルゼンチンタンゴ。セクシーで大人の情感たっぷりな踊りを…
小さく載っている写真は、まさに濃密カップルのようなベッタリ具合。
ラスベガスで観た、めくるめく官能の世界が脳裏に浮かんだ。
これこそまさしく運命の出会い。
私のぐーたれた生活を一変する、衝撃的な出会い。
今、思い返してみると、濃密カップルが踊っていた場所は、
踊りにくそうなゴツゴツの石畳だったかもしれない。
アルゼンチンタンゴじゃなかったかもしれない。
実際踊ってみると、セクシーでもエロでもない。
でもいい。
楽しいと思えるコトを出来るシアワセを見つけたから。
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